芸術家と画家、アーティストの違いを独断と偏見で解説する後編です。
(前編はコチラ)
まず目次です。
1と2は前編で説明しています。
1.画家について
2.芸術家とアーティストの違い 3.アート(Art)の語源、定義 → 今回ココから |
それでは個別に解説していきます。
3.アート(Art)の語源、定義
アートの語源はラテン語の「アルス(ars)」。
「技術」や「人工物」という意味。
近代までは技術の意味が強く、それまでの芸術は「よい技術」や「美しい技術」と表現され、実用性が重視されていました。
近代以降になって、ようやく実用性から解放され、自由で独立した概念になりました。
もともと絵は画材である絵の具が高価で、教会や貴族などのお金持ちしか発注できなかったという背景がありました。
それが宗教改革と市民階級の所得向上で、一般市民が絵を購入できるようになったのです。
そういう意味で絵は一部の権力者のものから解放されたのです。
アートは技術を背景にしたものから、描くテーマやモチーフが自由になったという経緯があります。
ちなみに葛飾北斎の「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」は版画として発行された当時、芸術とは認識されていませんでした。
そもそも当時の日本にアートや芸術という概念がなかったからです。
海外で評価されて逆輸入する形で日本でも芸術性が認められたというか教えられたという感じです。
ちなみにアートという概念は明治以降に輸入されたものです。
最近、写真みたいなリアルな絵が凄いと評価されるのがとくに高まっています。
それらを芸術とかアートと呼ぶのに異議は唱えませんが、西欧のアートの概念からは遠いような気がします。
せっかく技術から解放されて、創造性を評価される自由さを手に入れたのがアートなのに、逆行しているからです。
写実という技術の高さは確かに芸術的ですが……。
まぁ、でも人気ですよね。
凄いと思います。
まとめ
独断と偏見でまとめてみます。
画家は芸術家(または美術家)という大きなグループの中の1つの職種。
アーティストは従来の芸術家という範囲に収まりきれない活動をする人が使う呼称。
よって図式にすると、
アーティスト > 芸術家・美術家 > 画家
ということになります。
範囲の定義です。
あくまで範囲のことであって、優劣の意味じゃないです。
また旧来の技術を使った画家さんが自分のことをアーティストと呼ぶのも自由です。
呼びたい人、呼ばれたい人が勝手に判断して使い分ける性格のものですので、どれも正解で、どれも間違いじゃないです。
(今回は以上です)